ターゲットやタイミング情報を収集する方法

DtoCマーケティング

今回から、これまで解説したターゲットとタイミングの内容をふまえて応用編をお届けします。

 今回は第8章【応用編①】DtoCマーケティングとし、ターゲットやタイミング情報を収集する方法を解説します。

 DtoCマーケティングは、新規獲得フェーズ、そして顧客育成フェーズにおいて、自社の商品・サービスを継続して利用していただける「ターゲット」に焦点を当てて、適切な「タイミング」でコミュニケーションを取ることが重要だと、これまで解説してきました。

 次に解説したいのは、ターゲットやタイミングの情報をどのように収集するかです。情報がなければ、「誰」「いつ」ということがわからないので、何も打つ術がありません。まず収集したい情報を、より細分化すると、

ターゲット
・デモグラフィック(年齢、性別、居住地域など)
・サイコグラフィック(趣味・嗜好、ニーズなど)

タイミング

・ライフサイクル(結婚、就職などのライフイベントから日々の習慣など)
・顧客との距離(自社とお客様との関係性の浅い・深い)


になります。これらをオンライン、オフラインそれぞれで収集する方法があります。主な方法は以下です。

①アンケートデータ
お客様にご回答いただくアンケートの結果のこと。

②購買データ

いつ、何を買ったかという購買履歴のこと。

③会員データ
年齢、性別、居住地域や入会履歴などのデータ。ただし、年齢や性別は任意取得の場合は、その情報がありません。

④ビーコンなどの位置データ、
カメラの映像データ

以下、リアルデータと表します。

⑤WEB解析データ

Google Analyticsのような分析ツールのデータのことなお、cookieによって個人が特定できている場合を想定しています。

※今回は自社のデータの話を中心にするためサードパーティデータは除外しました。


 それぞれで収集できる内容が異なりますので、下記にまとめてみました。なお、「データ」という文言は省略してあります。

画像1を拡大表示

上記の表を解説していきます。


①アンケート


 アンケートは万能です。当たり前ですが、お客様に聞けば全部わかるということです。

 では、なぜ、アンケートだけに注力しないかというと、まず手間と時間と費用がかかるからです。

 アンケートの作成、送付から始まり、お客様に回答していただくため、インセンティブを用意する必要があります。

 そして、何よりアンケートの欠点として、それが、「確か」ではない場合も多いことです。お客様は必ずしも正しい内容を回答するとは限りません。

 悪気はなくても記憶が曖昧だったり、質問の意図がわからなかったりして、適当に回答する場合が多々あります。そのため、他のデータと補完して活用する場合が多いです。


⑤WEB解析

 こちらは「確定」ではないが「推定」できるという意味では万能です。そもそも、マーケティングに活用する際に、確定情報が必要な場合はあまりありません。

 例えば年齢が必ず35歳でないといけない施策はあまりないでしょう。

 さて、なぜWEBの解析データで、推定とはいえ、ターゲットとタイミングの情報が収集できるかをGoogle Analyticsを例に解説します。

 まず、デモグラフィックの情報は、自社および他社のウェブの閲覧履歴を元に推定で提示してくれます。サイコグラフィックも同様に、趣味・嗜好などある程度提示してくれます。

 さらに、どのページを見たか、という情報が収集できるので、例えば「アウトドア」の特集や関連商品を見ていれば、アウトドアに興味あると推定できます。

 なお、Google Analyticsだけで個人ごとのデータを解析するのは少々面倒なので、別ツールを併用した方がお勧めです。

 次に、ライフサイクルと顧客との距離感ですが、どのページを見たか、どの商品を買ったかという情報や、サイトに訪れる頻度や時間帯、閲覧しているページの数などの情報が収集できるので、それらを組み合わせることで、推定することができるでしょう。

 このように、WEBの解析データは、膨大な情報の収集が可能です。

 つまり、オフラインのみの企業より、オンラインの企業の方がターゲット・タイミングの情報に関して優位に立っているといえます。

 Eコマース企業であれば「購買」「会員」のデータも持ち合わせていますので、さらに盤石といえます。当然のようにアンケートもウェブサイト上やメールで取得することが可能です。

【補足】
ただ、ひとつだけ入手できないのが、WEBを離れた人間のリアルな行動情報でした。しかし、昨今、大手のEコマース企業はそれさえも入手しようと目論んでいます。Amazonは、Amazon Goやリアル店舗の買収により、リアルな行動データの収集も可能になりました。逆に、リテールや卸中心の企業は、自社のECに力を入れ始めています。売上を伸ばすという目的もあるでしょうが、商品や販促の改善に必要なユーザーのデータを収集することに力を入れ始めているようです。


 以上、ターゲットやタイミング情報を収集する方法を解説しました。実際の業務において情報を収集する際は、稟議の壁(情報の重要性を説得する)、システムの壁などさまざまな障壁が存在すると思いますが、ぜひターゲットとタイミングを解明して、DtoCマーケティングの神髄に迫っていっていただければ幸いです。

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