DtoCマーケティングにおいて重要な指標として、F2転換率があげられます。Fはフリークエンシー(Frequency)のことで、2は2回目のことです。つまり、初めて購入した人のうち、何人の人が2回目を購入(または継続)したかという割合になります。
例)
100人の新規購入者がいて、そのうち、50人の方が2回目も購入(継続)した場合は、F2転換率は50%になります。
今回はそんなF2転換率の重要性について解説していきます。
なぜ、F2転換率が重要かというと、
2回目に購入(継続)するかが、以降、自社の商品・サービスに定着するかの分れ目
になるからです。
実際に、各社のデータを見てみても、3回目以降の購入(継続率)は、2回目→3回目でも、4回目→5回目でもあまり変わらず、70%~90%程度になります。しかし、初回→2回目は、30%~60%という、かなり低い値になります。初めて購入した方に、もう一度買っていただくことがどれだけ難しいかということを表しています。しかし逆に、もう1回買っていただければ、3回目以降の継続が見込めるということです。
では、F2転換率がアップした際の、売上への影響度を具体的にみていきましょう。
1か月に一度課金が発生する継続課金(サブスク)型の会員サービスがあるとして、パターンでみていきます。1年後、一番、会員が残っているのはどのパターンでしょうか。
パターン①
F2転換率が30%、以降は変わらず80%の継続率パターン②
F2転換率が60%、以降は変わらず80%の継続率パターン③
F2転換率が60%、以降は変わらず75%の継続率
パターン①の場合、
100%×30%×80%×80%×80%×80%×80%×80%×80%×80%×80%×80%
になるので約3.2%になります。つまり、最初に100人いたとして、1年後には、3人しか残っていません。
同様にパターン②を計算すると、100%×60%×80%×80%×80%×80%×80%×80%×80%×80%×80%×80%
なので、約6.4%。当たり前ですが、パターン①の2倍になります。
そして、パターン③は
100%×60%×75%×75%×75%×75%×75%×75%×75%×75%×75%×75%
になり、約3.4%です。パターン②よりは少ないですが、パターン①よりは多いという結果になりました。
F2転換率が売上にもたらす影響がなんとなくイメージできましたでしょうか? 今度は上記に実際の金額を当てはめていきましょう。
仮に1回あたりの購入金額が1,500円だとすると、パターン①では、新規で獲得した方が1年間で平均3,557円のお金を支払っていただけることになります。新規獲得人数が100人であれば、会社に入るお金は357,700円です。
同様にパターン②と③も計算しました。まとめると以下の表になります。
なお、表中の「残存率」は、1回目を100%としたときに各回で何%の方が残っているかを指します。また「平均金額」は、1回目の方が、割合として、平均いくら支払うかを指しています(実際の売上は人数を掛けて出します。例えばパターン①の場合で新規獲得人数が100人であれば、12回目は4,800円です)
新規獲得者の1年間の平均購入金額はパターン②で5,613円、パターン③で4,948円になりました。単純に売上を算出する場合は、先ほど述べたように新規獲得人数を掛けてください。
ただ、重要なのは、1年あたり平均いくらという値になります。なぜ、重要なのかというと、
新規獲得にどれだけコストを掛けられるかという試算ができる
からです。この事業の限界利益率(売上から変動費を引いた金額を売上で割った率)が、60%だとします。そうすると、新規ひとりあたりの限界利益は、
・パターン①→2,134円
・パターン②→3,368円
・パターン③→2,969円
となり、それぞれMAXでかけられる固定費が算出できます。
さて、その固定費をすべて新規獲得に費やせると仮定します。さらに仮に今行っている施策の新規獲得費用(CPA)がひとりあたり3,000円だとします。そうすると、
パターン①の場合は獲得するたびに赤字になってしまいます。パターン②の場合は、約350円黒字になり、パターン③はトントンというところです。
前提として、新規獲得にかけられる費用が高ければ高いほど、より多くの新規を獲得することができます。そして、新規の人数が多いほど、売上が上がっていくことになります。
つまり、F2の継続がアップする→ひとりあたりの平均売上が上がる→新規獲得に費やせる費用がアップする→新規獲得人数が増える→売上が上がる。という好循環を生み出すことができるのです。
コメント