中小企業と大企業の違い~大企業編~

ビジネス

 私自身、いわゆる大企業でも、いわゆるベンチャー企業でも働いたことがあります。また、コンサルタントとして中小企業のマーケティングを支援したこともあります。その中で、大企業と中小企業の良い所、悪い所をたくさん見てきました。

 これから、就職をされる方、転職をされる方のために、その内容をご紹介できればと思います。

大企業の良い所

 大企業の良い所、それはまず、恵まれているということです。人、モノ、金です。
 まず人。日本では、まだ大企業に入社することがステータスとされているので、優秀な人とは大企業にいた方が出会う確率が高くなります。特に大企業の入るような新卒の方は、大学では同じ偏差値の友だちと4年間過ごしてきており、同じ知的レベルでの均質的なコミュニケーションに慣れています。周りは同じ入社試験を受けて入社してきた同僚、先輩なので、そのカルチャーにショックを受ける可能性は低いでしょう。
 
 研修制度も整っているので、例えばグロービスなど、高額費用の研修を無料で受けられることができ、社会人としての土台を育むという点では、中小企業より利があります。

 モノに関しては、例えば支給されるパソコンも最新のモデルだったり、福利厚生だったり充実しています。大企業は優秀な人材を採用する必要があるため、本社の立地や環境にもお金をかけます。駅から歩いて3分、巨大な高層ビルの中にオフィスを構えている大企業はざらです。
 
 お金に関しては、給与のことではありません。給与は仕事の内容や職掌によったりするので一概に比較はできません。この場合、仕事で使える金額を指します。例えば、販促費やシステム開発費などです。大企業の場合、新卒であっても、OJT期間を経て、億単位のコストがかかる販促を任される場合が多々あります。中小企業の場合は、そうはいきません。例えばシステムを導入する際、世界最先端のシステムを導入したくても、持っている予算やキャッシュに限りがあるので、簡単には提案できません。中小企業と比べ持っている体力の差があるので、当然そうなるわけです。

大企業の悪い所

 ひと言でいうと政治です。どんなに仕事ができても、どんなに論理的であっても、リレーションが上手でないと、出世することができないばかりか、大きなプロジェクトも進めることができません。
 そこで重要なのがロビー活動というやつです。私も若い頃、タバコ部屋に行き、目当てのお偉いさんと話をしたものです。もちろん、中小企業にも政治がありますが、大企業は歴史が長いので、その政治構造自体、込み入っているケースが多いです。

 また、承認作業が多いです。リスク回避のため、仕方がないのですが、とにかくビジネスワークフローのステップが多い。役職が上の方ほど、会議が多いので、承認をしてもらうことに時間がかかります。「ただ待つ時間」というアイドルタイムが発生してしまいがち。そのため、大企業の方が基本的には仕事のスピードが遅いです。

 また制度が整っていることはメリットでもあり、デメリットでもあります。入社前に整備された、細かい服務規程で社内の秩序を保っているのですが、例えば最近だと副業など、時代の流れについていない部分があり、会社によってはその変更に時間がかかったりします。

 そして、一番のデメリットは、一般的には裁量の範囲が狭いです。執行役員クラスになれば話は別ですが、先ほど述べたように優秀な方が多い大企業ではまずそこに這い上がっていくのが大変です。そうなると、裁量は基本的に自分が所属する部や課の業務が中心。例えば販促を主とする部署であれば、その仕事しか関わらずにキャリアを進んでいくことになります。

 その仕事が未来永劫、重要な仕事であればいいのですが、そうでないと、時代の流れとともに、自分のキャリアがマッチしないという結果にもなりかねません。
 ただ、これは大企業ならではの理由があって、まだ人を集めるのが容易な環境。また成功法則がある程度は通用しています。そこで、裁量を持って新しい変革をしてくれる人よりは、今ある仕事をそつなくしてくれる人、言い方は悪いかもしれませんが、歯車として円滑に仕事を回してくれる人を求める傾向があるのです。

大企業はこんな方におすすめ

・決まった仕事をルーチンでこなしたい。
・大きなコストを元に大きな仕事をしたい。
・優秀な人と出会える可能性が高い方を選びたい。
・まずは社会人としての土台を築きたい。

以上。大企業の良い所、悪い所でした。次回は中小企業の良い所、悪い所を解説します

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