「疲れた」。パソコンの電源を切りながら、
思わず声が出てしまった。
今日は仕事があまり
上手くいかなかったのだ。
テレワークの悪いところで、
会社から自宅への移動がないので
気持ちの切り替えが難しい。
1時間ほど、電車に乗ったり、
歩いていたりすると、
仕事から離れていけるものだ。
しかし、今の職場は自宅。
帰宅時間は数秒だ。
そのため、仕事のストレスを抱えたまま、
4畳半の仕事部屋を離れ、1階のリビングに。
子どもたちは学校、幼稚園から帰っている。
7歳の長男はテレビゲームをしていた。
次男はその様子を横で見ている。
二人とも私の方を見ようともしない。
まあ、いつものことだ。
私はなんの気なしに、
長男の横にあぐらをかいて座った。
仕事のことが頭から離れず、
虚ろな表情でテレビ画面を見る。
テレビには、ゲームのキャラクターが
せわしなく動いていたが、
あまり集中して見る気にはならない。
すると、床に座っていた
4歳の次男がやってきて
私の股の上にちょこんと座る。
次男にとって、私はまるで椅子かのごとく、
当然のように座る。
重みと温かみが私に加わる。
今、我が家のリビングでは、
長男が私の横に、
次男が私の上に座っている状態だ。
男3人でテレビのゲーム画面を見ている。
その光景が俯瞰的に私の頭に描かれた。
なんてことのない日常のひとコマ。
ただ、それだけなのだが、
家族っていいなと思う瞬間だ。
そういえば筋トレが私の日課だ。
毎朝、リビングで腕立てと腹筋をする。
私が腕立てを始めると、
子どもたちが私の背中にのってくる。
まず長男がのって、その上に次男がのる。
腹筋を始めると、私のおなかにのってくる。
長男が前、次男が後ろだ。
筋トレをあきらめ、
子どもたちとじゃれあう。
なんてことはない日常だが、
これまた幸せの瞬間だ。
また、ある休日の朝。
リビングで寝そべってテレビを見ていると、
次男がやってきて、私の左腕をつかみ
同じように寝そべる。
頭は私の胸のうえだ。
よしよし。
あまりに可愛くて頭をなでる。
これもまた幸せな瞬間だ。
私を頼ってくれる、
この子を一生守ってやらなくては。
次男は今、何を考えているのだろう。
横目で見てみた。
かゆいのか、指で鼻をほじっている。
その小さな左手の指に鼻くそがついてた。
さて、その指をどうすのだろうか。
と思ったとき、なんの迷いもなく、
その指を私の左腕になすりつけた。
なんてこったい。
さっき着替えたばかりなのに……。
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