映画『マトリックス』はドンピシャの世代だ。初めて見たとき、そうだ、こういう映画を待っていた、と鳥肌が立ったのを覚えている。カンフーに、ワイヤーアクション、カーアクションに銃撃シーン、CGとリアル融合された世界に男の子が好きな要素が全て盛り込まれている。
さらにテーマが奥深い。要するにプログラムと人間の戦いなのだが、現実社会で様々な制約を受けている自分姿を投影し、主人公ネオを応援してしまう。
『レザレクションズ』を見る前に、過去3部作を見直して見た。もう何度も見たはずなのに色褪せていない。到底20年前の映画とは思えない。
さて、期待に胸を膨らませ本作を見た。普段はタブレットで映画を見ることが多いが、本作はやっぱり大画面で見たい。僕らのネオとトリニティーの姿を。
そして約2時間半後。うん? 面白いといえば面白かったのだが、何か消化不良だ。『マトリックス』といえば斬新な映像。有名なのが、パート1の身体をのけぞって銃の弾を避けるシーンだ。パート2は道路を逆走する派手なカーチャイス。パート3は、ザイオンでの戦い。ところが今回はあまり記憶に残るシーンはない。せいぜい高層ビルからボットと呼ばれる人間たちが飛び降りていくシーンぐらいか。
また俳優たちの年齢にもよるのだろう。アクションシーンが少ない。漫画を実写化したかのようなカンフーアクションがほとんど見られなかったのは残念だ。
本作はネオとトリニティーの再会が話のメインとなる。再びマトリックスに支配された主人公たちが、過去の記憶を取り戻していく。その過程で我々も過去の映像を見ることになるのだが、いや、もうそれ復習済み、と突っ込みたくなる。
今回良かったのは、結局、マトリックスとは何なのか、プログラムの目的とは、ということが今までより丁寧に描かれている。過去3作品では難解だったので、恥ずかしながらやっと理解できた。ただ、理解出来てしまうと、寂しさもあった。もうマトリックスは完結に向かっていると実感させられるからだ。実際、監督は次回作を否定している。
本作は、『マトリックス』映画に熱狂し、欲求不満のままでいるファンのためのエピローグ映画だと言える。ファンは絶対見るべきだ。
私もそんなファンの一人だった。が、いやいや、まだ終わって欲しくない! むしろ欲求不満になった。俳優を一新しても構わないので、もっと派手なアクションを見せてくれ! 人間たちがプログラムに完全勝利するまで続けてくれ! そんな感想を持った一本でした。
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