中小企業か大企業か選ぶポイント~オーナー企業編~

ビジネス

 過去2回にわたって中小企業か大企業か選ぶポイントをお伝えしてきましたが、最後のテーマは、「オーナー企業か否か」です。実は、その企業がオーナー企業かどうかは、入社した会社の環境を作る大きな要因です。まずはその理由を解説してきます。

なぜオーナー企業か否かで環境が変わるのか

 まずオーナー企業の定義ですが、株式の保有率など詳細はここでは気にせず、創業者やその親族が実質的な支配権を握っている企業と扱います。そのため、必然的に中小企業の方が確立があがりますが、大企業でも多く存在します。世界的に有名な自動車会社もオーナー企業です。

 次にオーナー企業で何が変わるかというと、その意思決定のスピードです。会社はあくまで株主のもの。例えば中長期の戦略だったり、大きな金額の投資など、会社の権限規定に基づいて承認を得られなければいけません。もちろん、オーナー企業であってもそのプロセスは必要ですが、先にオーナーの承諾を取ってしまえば、それに異論を唱える人はあまりいません。せいぜい自分の役目に従って必要な資料を求めるくらいでしょう。

 民主主義といえば合議制、多数決。もちろん、それは悪いことではありませんが、1つ1つ、関連各所の合意を取っていくのは時間がかかります。すんなり承認を得らればいいのですが、大抵の場合は、IT部門、経理部門(あくまで例えばです)から異論が出て、企画を修正。また提出して指摘を受けまた修正。というように時間を浪費していきます。修正したあげく、元の目的が不明確になることも多々あります。

 昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が提唱されていますが、成功している会社と失敗している会社の違いは、簡単にいうと、トップダウンか否かです。DXは投資金額の大きさもさることながら、関連する部門も多いです。しかもデジタルの進化が早い。あるシステムを導入しようとして、これまでの旧態依然のワークフローで稟議を進めていたら、その間にそのシステムのサービス内容や料金体系が変わったり、他のシステムが機能向上して良くなった、などよく笑えない話がよくあります。トップの指示の下、意思決定を矢継ぎ早にしていける企業でなくては、DXは推進するのが難しいのです。

 もちろん、オーナー社長がいいと言ったはずなのに、社内で争いが起こったり、自分が孤立したりすることを恐れて、影にひっそり隠れるようなオーナー社長もいるかもしれませんが、大抵の場合、オーナー社長がいいと言えば物事は進みます。

 ただし、それが場合によってデメリットにもなります。例えば、オーナー社長がいいと言ったことが、必ずしも実現可能な案件だったり成功する案件とは限りません。どう考えても実現不可能なプロジェクトをいきなり振られて見動き取れなくなった方を見たときもありました。絶対的な方がいる会社というのは、その方に従っていけるかどうかを見極めなければいけません。

オーナー企業か否かの見分け方

 目当ての会社がオーナー企業か否か調べる方法ですが、その会社のホームページで調べることができます。会社の沿革や会社概要、役員紹介を見れば大抵わかります。あとは社長メッセージのようなページもあるので、そこで、創業者の場合は、創業ヒストリーを語っている場合が多いので、それで判断つきます、企業であればIR情報で株式の保有率まで調べることができます。
 
 中小企業の場合は、転職情報サイトを調べるのも手です。社長についての書き込み欄があるので、そこでオーナー企業か否か想像がつきます。どうしてもわからなければ「面接で聞いてしまう」という最後の手があります。直接社長本人に聞くのは失礼なので、最終面接の前に確認しましょう。また直接、「オーナー企業ですか?」というのも心象が悪いので、例えば「どのような社風でしょうか」という当たり障りのない質問をして、その答えをうまく誘導しながらオーナー企業かどうか、判断していくのがいいかもしれません。

 以上。小企業か大企業か選ぶポイントの番外編でした。お役に立ちましたら幸いです。

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