兄のもの、弟のもの

パパの育児

歳が近い兄弟を持つ親なら、
誰しもが気を付けていることは、
兄と弟には同じものを与えることだ。
お菓子、服、おもちゃなど、
色違いもやめた方がいい。
異なるのはサイズだけだ。

違うものを与えてしまうと、
たいていは喧嘩の種になる。
僕はあっちがいい、
僕はこっちがいい。
という感じだ。

特におもちゃは深刻だ。
歳相応のおもちゃを与えようと、
違うおもちゃを選ぶと大変なことになる。
もちろん、一方だけに与えることも
避けなければいけない。
クリスマスはプレゼントを
同じ日に選ぶので大丈夫なのだが、
誕生日は別々の日なので、注意が必要だ。
我が家は幸い二人の子どもの
誕生日が近いので
中間をとって同じ日に
プレゼントを渡すようにしている。

それだけ注意していても、
たまに「サービスです」と、
おもちゃをくれるお店がある。
親切心からだろうが、
歳の差を意識して
兄弟に別々のおもちゃを渡す。
その瞬間、不安に襲われるが、
見ると、若い店員の方。
まだ子どもがいないのだろう、
仕方がないとあきらめる。
不安どおり、家に帰ってから
おもちゃをめぐって喧嘩が始まる。
たいては、兄が勝ち、
弟は負けて泣いて終わり。

俺のものは俺のもの 
お前のものも俺のもの。
かのジャイアンの名言を思い出す。
そうそう、こういう争いを
避けていたんだよな、
と改めて身を引き締める。

ただ、お菓子を子どもたちと一緒に
買いにいったときは話は別。
さすがに好きなものがいいだろうと、
子どもに好きなものを選ばせる。
すると、好みが違うのか、
兄弟別々のものを選んでしまう。
例えば長男はスポンジケーキ、
次男はクッキーのように。
このときばかりは、
自分で選んだということもあり、
喧嘩にならず、
自分のお菓子だけを食べていく。
時折、お互いのお菓子を
牽制し合いながら。

長男はあっという間に
スポンジケーキを平らげる。
次男もゆっくり一つずつ、
クッキーを口に運んでいたが、
ぴたりと手を止めた。
おや、お皿にはまだクッキーが
1つ残っているようだ。

「どうしたの? ごちそうさま?」
食いしん坊の次男には珍しい。
お腹でも痛いのかと
心配になって声をかける。

「ううん、お兄ちゃんに
これあげる」

思いがけない、ひと言。
長男はそれを聞いて
すかさず手をのばし、
残りの一個を口に放り込む。
次男はその様子を笑顔で見ている。

今後、我が家にはどんなことが
起こるかわからない。
幸せも不幸もあるだろう。
そんなとき、幸せも不幸も
二人で分け合ってほしい。
満足そうな二人を見て、
そう思った、お休みの午後3時だった。

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