わが家の子どもは4歳と7歳。
ゲームをする時間と、
YouTube視聴時間を決めている。
放っておくと際限ないからだ。
日中は私が監視できないので、
妻が視聴時間の監視役だ。
といっても、私が仕事が
終わる頃には、制限時間は
使い果たしたあとだ。
ただ、ゲームの方はきちんと
約束を守るのに対して、
YouTubeは隙あらば見ようとする。
そちらの方が中毒性が高いのだ。
特に、長い動画の途中で
視聴時間が終わった場合、
どうしても続きが見たくなるようだ。
我が家にはテレビが一台しかない。
子どもにはまだタブレットは
与えていないので、
YouTubeを見るには
リビングにあるテレビで
見なければいけない。
キッチンで、
妻が目を光らせているので、
子どもは我慢して
普通のテレビを見ている。
しかし妻がひとりでお風呂に
入ったときがチャンス。
兄弟は、急いでテレビを
YouTubeに合わせて
動画の続きを見はじめる。
私はそれを横目で見ている。
『今日の視聴時間は
終わったのに見ているんだな』
すぐに注意したいところだが、
少し待ってみることにする。
当然、妻がお風呂から出たら
すぐにばれるのが、
どうするつもりだろう。
私の心の声が聞こえたのか、
長男が次男に指令を出した。
「お母さんがお風呂から
出そうか見てきて」
次男はすぐに小走りでお風呂に行き、
そっとドアを開けて中を探る。
また、小走りでリビングに戻ってきた。
「大丈夫。まだ入ってる」
長男はその言葉を聞き頷く。
次男はまたリビングのソファに座る。
そして、兄弟はYouTubeを見続ける。
どうやら次男が
スパイ役というようだ。
なんて小賢しい兄弟たちだろう。
しばらくして、またボスである
長男から部下の次男へ指令だ。
「もう出そう? 見てきて」
再び次男はスパイとなって
お風呂場へ飛んでいく。
「もう、出そうだよ」
リビングに走って戻りながら
小声で注意を発する次男。
その言葉を聞き、長男は
慌ててリモコンを手にとり、
チャンネルを普通の番組に戻す。
そうして、兄弟は証拠を隠滅し、
何事もなかったかのように
仲良くテレビのバエティ番組を
見ていたかのような光景を偽装した。
その一連の様子を
微笑ましく眺める私。
妻が髪を乾かしお風呂から出てきた。
テレビを見ている子どもたちに
すぐに声をかける。
「なんで、お風呂に何度も来てたの?
YouTube見てたんでしょ」
しらを切ろうとする兄弟。
しかし、妻は続ける。
「明日はYouTubeなしね」
うなだれるスパイ兄弟。
こうして、兄弟たちのミッションは
失敗したのだった。
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