最近は公園に行くと、
7歳になる長男が必ず
「かくれんぼしようよ」と言ってくる。
小学校でも友だちとしているようだ。
そのとき、問答無用で
4歳の次男を鬼にする。
ひどいと思うのだが、
次男は何も文句を言わず、
いち、に、さん、しぃ
と数を数え始める。
すると長男は嬉しそうに
本気で隠れようと、
遠くの方まで走っていった。
それほど広くない公園だが、
子どもが迷子になったら大変だ。
私も隠れなくてはいけないが、
まず長男がおおよそどの辺りに
隠れたかを把握しておかなかればいけない。
次男から一番遠い木の陰に
隠れたのを確認できたので、
私は次男のすぐそばの
木の陰に隠れる。
きゅう、じゅっ
数え終わった次男はあたりを見回す。
外にいるときは、いつも私か妻かに
手を握ってもらっているのに、
このときばかりは一人きりだ。
不安にならないかなと心配しながら、
木の陰から次男を見守る。
辺りを何度も見回す次男。
案の定、遠くまで走って
隠れた長男は見つけることができない。
数を数えていた場所で
きょろきょろするばかりだ。
ひとりでいる次男を
黙って見ていると
居たたまれない気持ちになる。
生まれてきてから、
どんなときも
妻や私がそばにいる。
大袈裟かもしれないが、
家の外でたった一人でいるのは、
どんな気持ちがするのだろう。
寂しいのだろうか。
それとも、私や長男を見つけようと
夢中になっているだろうか。
次男の顔をじっと見つめた。
泣いてはいないし、不安そうでもない。
しかし、やはり心配になる。
他のお母さんと遊ぶ子どもたちの
賑やかな様子と、
ひとりでいる次男の姿が対象的に映る。
その小さな瞳で何を見ているのだろうか。
わずか数分しか経っていないが、
体感ではとても長い時間に感じた。
『よし、そろそろわざと見つかろう』
と思って、木の陰から体を出しかけた、
そのとき、
ばぁ
走って戻って来た長男が
次男の前に現れた。
「全然見つけられないんだもん」
と得意げな長男。
きゃっきゃっと笑う次男。
ひょっとしたら、
長男もひとりで隠れていて、
不安だったのかもしれない。
冬の晴れた日曜日。
肌寒いが心が温まる瞬間だ。
父さんも仲間に入れてよと、
楽しそうな子どもたちのもとへ、
木の陰から近づいていく。
「あ、お父さん、みーつけた」
次男が嬉しそうに私を指さす。
見つかっちゃった。
今度はお父さんが鬼をしようかな。
あんまり遠くへ行っちゃだめだよ。
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