映画『モータルコンバット』の感想

レビュー

 アベンジャーズで真田広之姿を観たとき、日本を代表する役者をこんな勿体ない使い方をするなんて、と憤ったものだ。この映画ではその鬱憤が少し晴れた気がする。

 何せ冒頭の15分は真田広之のひとり舞台と言っても過言ではない。海外の役者の辿々しい日本語気になるところだが、それを差し引いても真田広之の迫真の演技が心を掴む。どうせCG満載のアクション映画だろうという我々の予想を裏切ってくれるのだ。

 日本では2021年6月公開の作品。魔界と人間の格闘トーナメント「モータルコンバット」というゲームの実写化作品だ。正直、ゲームはやったことがないが、設定やそのグロい世界観に惹かれて本作を見てみた。

 あらすじはシンプル。胸にアザを持つ選ばれし人間たちが集結し、魔界の皇帝率いる刺客たちと戦いを広げていくというお話。格闘トーナメントという言葉から、格闘場での戦いを予想していたが、そのトーナメントへの出場を皇帝が阻止すべく、人間界で選ばれし人間を仕留めようとする。なんとも卑怯だが、それが魔界のやり方ということなのだろう。

 本作には、もうひとりの日本人俳優、浅野忠信も出演。ただし、こちらは、人間を超越している存在なので、彼らしい演技を期待すると期待外れになってしまう。人間と魔界の戦い。CGを駆使したアクションシーンを期待して見るのが、本作の楽しみ方だろう。そして、その戦いのグロさ。体のいろんな部分が切られて飛んでいきます。そういうのが嫌いな方は見るのをお勧めしません。

 さて、冒頭にお伝えしたように、異色なのが、真田広之が登場する冒頭のシーン。ここだけ切り取ると別の映画のようにも思えます。しかし、映画全体の鍵を握るシーンで、重みのある演技を見せられることで、映画自体への期待感が高めてくれる。そして、あっさり出番が終わった真田広之への再登場を願ってしまうのだ。

 ここからはネタバレになりますが、期待通り再登場をしてくれます。しかし、もはや人間の姿をしていない状態。先の浅野忠信と同様、人間くさい演技は残念ながら見ることができません。逆にいうと、そういった演技ができるのがさすがというところでしょう。

 エンディングは恐らく予想どおりのエンディングです。特に奇想天外なことが起きるわけではありません。しかし、王道のアクション映画としては、男の子の好きな要素がいっぱい詰まっています。何も考えずに映画を楽しみたい、真田広之の演技が見たい、そんな方にお勧めの一本です。

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