DtoCマーケティングにおいてお客様にアンケートを実施することは非常に重要です。でも、一体、何人の意見を聞けばいいのか、という箇所で躓くケースがあります。「たった50人の意見を信じていいのか」と疑問になり、必要な数を算出しようとすると、統計学の知識が必要なのでは、と思うかもしれません。しかし、統計学に精通していなくても、一般的な基準となる値がありますので、今回の記事を参考にしてみてください。先に結論を言うとサンプル数は「母集団」と「信頼度」と「許容誤差」で決まります。順番に解説していきたいと思います。
母集団とサンプル数について
まず、言語がバラバラだと理解が難しいので、それぞれ定義をしていきたいと思います。まず、そもそもとして、誰の意見を聞きたいか、という部分になります。例えば「日本国民全体」だったり「サイト訪問者」だったり「購入者」だったりします。これらを【母集団】と呼びます。
次に、アンケートに答えてくださる方々のことです。こちらは一般的には【標本】と呼びますが、今回の記事では平たく【サンプル】と呼ぶことにします。つまり、アンケートに回答してくださる方の人数は【サンプル数】と呼ぶことになります。
そもそも誰の意見を聞きたいのか(母集団の設定)
さて、まずは母集団を設定しましょう。事業をしていて、なかなか「日本国民全体」の意見を聞くことはないと思うかもしれません。「せいぜい国勢調査くらいだろう」と思いがちです。しかし、実際にはそのようなケースも多く、例えば会社やブランドの認知率です。「サイト訪問者」や「購入者」の認知率を計測しても意味がありません。自社やブランドが競合他社に比べて、どのような認知率なのか、を測るのが目的となりますので、当然、「日本国民全体」が母集団になります。もちろん、男性だけの認知率が知りたい、特定の年齢層だけ知りたいという場合もありますので、その場合は母集団として、少ない数になってきます。
実は、この母集団の設定が、サンプル数をどれくらい集めるべきなのか、に直結してきますので、まずは、誰の意見を聞きたいのか、という母集団の設定から始めることにしましょう。
ちょっと難しい信頼度の話
ここまでは、それほど難しくないのですが、次に信頼度の話になります。ここからが統計学の話になってきますので、躓きやすいポイントです。WEBサイトで検索しても、「信頼度をどう設定すべきか」と書かれており、95%か、90%か、85%か、という話になってきます。結論から言うと、95%でいいと思います。信頼度とは、その名の通り、信頼に値するか否かの確立になります。つまり、100回やっても95回とも同じ結果になる確率の場合、信頼度は95%ということです。
あとで出てくる「誤差範囲」に関する度数になってきており、ここを95%か90%にするか話が変わってくるのです。なので、まずは信頼度を固定しないと話が進みません。一番高い信頼度にしておけば、また戻る必要がないので、95%にするのがお勧めです。
必要なサンプル数と誤差範囲
次に必要なサンプル数です。まずは許容誤差という範囲を想定する必要があります。誤差範囲の解説からします。こちらは、ある答えの割合がどれくらい上下に誤差が出るかという目安になります。例えば、「チョコレートが好きですか?」という問いに対して、55%の人が好きと答えた場合、誤差範囲が5%であれば、50%~60%の人が好きという可能性になります。つまり、「チョコレートが好きな人が多い」という結論が出せなくなるのです。
この誤差範囲を少ない割合に設定すればするほど、サンプル数は多く必要になってきます。例えば、先述した母集団が100人の場合、誤差範囲が5%であれば80人の回答だけですむのに足して、誤差範囲が1%の場合は99人に対して回答を得る必要があります。
信頼度と同じく設定が迷うところです。こちらも経験上、5%に設定しておけば問題ないと思います。但し、上下に5%の誤差が発生することを意識し、5%以下の差がない項目同士を比較する際は十分に注意するようにしましょう。参考までに、母集団が100万人以上の場合、かつ信頼度95%の場合、集めたサンプル数によって、誤差範囲がどう変化するかをまとめました。
- 400→5%
- 1000→3%
- 2000→2%
まとめ
さて、「母集団」と「信頼度」と「許容誤差」について解説しました。では、結局、サンプル数は何人か気になるところだと思います。サンプル数を多くすればするほど、費用もかかるのでなるべく少ない数にしたいところです。そこで、信頼度=95%、許容誤差=5%で、母集団とサンプル数の関係をまとめました。
- 母集団→必要サンプル数
- 100→80
- 500→218
- 1,000→278
- 10,000→370
- 100,000→383
- 1,000,000~→384
以上、お役立ちいただければ幸いです。
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