今回は
第2章【ターゲット編②】DtoCマーケティング
になり、
DtoCマーケティングの2大要素、「ターゲット」「タイミング」のうち「ターゲット」に前回から引き続き焦点をあて、さらに「ターゲットを絞る」方法を具体的に解説していきます。と、その前にここで2つ質問です。
質問1
自社の業務データがきちんと整理されていますか?購入者の方の属性情報と呼ばれる、年齢や居住地域だったり、購買情報と呼ばれる、その方がこれまで何をどれくらい、いつ買ったかだったり。
質問2
データが正しく整理されていたとしても、かなりのデータ量になります。解析方法もさまざま。それを解析する十分な時間は確保できるでしょうか、もしくは業務委託をする予算は確保できるでしょうか?
データの整理はされていることが正しく、ターゲットを絞るためには、そこが第一歩になります。また、さまざまな角度でそのデータを解析していくことで、ただの数字が人格化されていきます。
「全然出来ていない、出来そうにない……。ターゲットを絞るのは後回しか」
と思った方、大丈夫です。
そこに時間をかけていては、かなり時間のロスになりますので、同時進行で始めていきましょう。
「どうやって?」と思うかもしれませんが、前回のトレーニングである程度、見えませんでしたか?
そうなんです、普通に商材をしていればある程度イメージできているはずです。
最初に仮説ありき、です。
そして最初にやるべきこと、それは、
「自社の商品・サービスをご利用いただいている、お客様と会話すること」
です。
なんのことはない電話をしてお話をお伺いすればいいのです。周りの方に協力してもらって、5人くらいに聞けばお客様像がかなり浮かび上がってくるはずです。
それがターゲットを絞るということです。
「いきなり電話して大丈夫なの?」
という不安の方が多いと思いますが、個人情報取得の際のプライバシーポリシーの目的の1つに、「当社が提供する本サービスのマーケティング、アンケート調査、サービスの改善のため」という意図の文言を入れているはずなので大丈夫です。さらに不安なら法務に確認しましょう。
といっても、いきなり電話してもつながらない場合もありますので、まずはメールでかまいませんし、もしくはグーグルなどのアンケートフォームで「商品・サービスを向上を目的とした調査のご協力のお願い」というタイトルで希望者を募りましょう。
内容はシンプルに。以下の例を参考にしてください。
メール内容例)
〇自社の商品・サービスのご意見を伺う電話調査をしていただける方を募集していること
〇所要時間は30分
〇謝礼は自社で利用できる500円OFFクーポン
〇調査期間(〇年〇月〇日~〇年〇月〇日)
〇調査にご協力いただける場合は以下のアンケートをお答えのうえ送信してください。
Q1.お電話可能な曜日を複数お選びください。
・月曜・火曜・水曜・木曜・金曜
Q2.お電話可能な時間帯を複数お選びください。
・午前10~12、午後12~13、13~14
Q3.電話番号
〇アンケートに答えた後にその御礼と、
調査させていただく場合は事前にメールすること。
【補足】
・会員情報として電話番号が登録されている場合もありますが、自宅と携帯など希望と異なる場合があるので、改めてお尋ねください。・電話番号を記載していただくので個人情報取得明示文やそれが掲載されているページのリンクを貼っておくと安心です。
・お話を聞きたい対象がイメージできているのであれば、性別や年代なども質問として追加してください。ただ、質問が多くなればなるほど、レスポンスは下がると思ってください。
こうして、ありがたいことに何人かの方から希望があったとします。次に誰を選定するかということになります。
なるべく自社の平均的なお客様と会話したいですよね。そういった方を炙り出さないといけません。一般的なやり方は
・希望者の購買データを洗い出す
・事前にスクリーニング調査を行う
【スクリーニング調査とは】
調査前に行う5~10問程度の事前調査のようなものです。例えば、利用頻度や購入金額や、自社の愛着度を聞いて、事前にどういったお客様か炙り出す作業です。ただ、調査する側もされる側も手間がかかります。
「面倒だな」と思ったかと思います。実は簡単に選別する方法があります。
それはずばり、謝礼です。謝礼の設定です。通常は、調査時間を時給換算して、その分を例えばAmazonなどのギフトカードでお支払いするのですが、そうすると、あまり自社を好きでもない、つまりマイノリティのお客様も手をあげてしまいます。
それを自社商品や自社商品の割引クーポン、などにしましょう。
そうすると、当然、自社や自社商品に愛着ある方しか手をあげません。勝手にターゲットを絞ることができるというわけです。
さて、自社のコアターゲットと電話のアポが取るまでを解説してきました。では、その方々と何を話せばいいのか。
結論からいうと、今回は自分の中に描いたターゲット像の答え合わせだったり、より人格化をするのが目的なので、そう鯱張る必要もなく、気軽におしゃべりをすればいいのです。
が、それはそれでかなりの能力を必要とされるので、質問内容を事前にまとめるなどの準備をしましょう。
今回は基礎データを洗っていない前提なので、その方がどんな方なのか、事前に探ってみましょう。もちろん電話で聞いてもいいのですが、例えば
「〇〇様はおいくつですか」
となかなか聞きづらいと思います。
性別、年齢、居住エリア、会員になった時期、購入商品など、会員情報を基にある程度の情報は調べておきましょう。たった5人です。それほど時間はかからないはずです。
【応用編】
購入商品といっても、1つではないはずです。複数ある場合はタイミングもばらばら。購入データを時系列で追うことで、この方はどんなタイミングで商品を購入したのか想像してみると、さらにターゲット像が浮かびあがってきます。時間に余裕がある方は実践してみましょう。
次に質問内容です。繰り返しになりますが、今回は次の打ち手の仮説を洗い出すための調査ではなく、超初期のターゲットを絞るための調査なので、あまり自社や商品に偏らず、その方の人となりを聞ける内容にしましょう。
また質問数自体はそれほど必要ではありません。答えに対してどんどん興味を持って広げだり深堀したりしましょう。
以下が例になります。
質問例)
〇家族構成
・結婚しているか、子どもはいるか、
誰と一緒に同居しているか
〇ご職業
〇ご趣味やご興味あること
・ここは深堀。例えば映画鑑賞なら、
好きなタイトルや好きな理由
〇ライフスタイル
・平日や週末によくすること、最近の変化
・何をよく見る?新聞?テレビ?何チャンネル?何系の番組?
・SNSは何を利用している?
よく見るコンテンツは?
〇悩んでいることや欲しいもの。
〇買いもののスタイル
・通販か、リアル店舗か
・計画的に購入するか、衝動買いか
・物を買うときの基準は、値段?ブランド?品質?レコメンド?
・最近買った物は?そのきっかけは?
〇自社商品を知った、購入したきっかけ
〇自社商品以外の競合商品は
利用しているか否か、その理由
〇今後も自社商品の購入を
続けたいか否か、その理由
【補足】
自社の商品やサービスによらない分、かなりプライベートな質問が続きます。相手としては初対面の人にプライベートな内容を話すことは躊躇されます。
コツとしては、まず自社のことを聞いて、「これはあくまで自社の商品改善のための調査なんです」ということを前面に出し安心していただいて、その後に、例えば「私どもの商品をご利用の方がどんな方か把握しておきたく、ちょっとプライベートな内容もお聞きします。
もちろん、社外へ公表はしませんのでご安心ください」と、エクスキューズのうえ聞いてみましょう。また、まずは自分のプライベートな部分を先に話すのも手です。
調査後は、複数人でインタビューを行っていた場合は、ブリーフィングといってみんなでホワイトボードに情報を集約していきましょう。
共通部分を拾っていくイメージです。「うちのお客様ってこんな人だよね」という共通の理解ができる像ができあがれば完成。
いわゆるペルソナというやつです。お客様をたった一人に絞ることができました!
「思ったとおりのお客様だった」という結論であれば、仮説や戦略が正しかったことになります。さらに仮説が肉付けされたいうことになります。
「思ったとおりのお客様ではなかった」場合は仮説や戦略がずれていた可能性があります。そこに対して疑問を持ち理由を深ぼっていきましょう。
コメント