簡単なデータでターゲットを絞る

DtoCマーケティング

さて前回はいわゆる定性的なアプローチでターゲットを絞り込みました。
今回の
第3章【ターゲット編③】DtoCマーケティング
では、定量的なアプローチからターゲットを絞っていきます。

まずはデータの準備です。なるべく簡単なやり方を解説します。

データ準備編

購入者や会員の方には、例えば年齢や性別など、さまざまなデータが紐づいたり、紐づけられることが一般的です。

今回はまず
①購入者のID(=顧客IDとします)
②購入金額
③購入回数

というシンプルなデータを中心に扱います。②と③の定義については後ほど解説します。

なお、多くの顧客IDが存在し、処理に時間がかかる場合は、例えば、全員ではなく、2,000人程度でもかまいません。ただ、その際、必ずランダムで抽出するようにしましょう。

さて、②と③の定義の解説になりますが、本当の理想は、会員になった時点または最初に購入した時点からこれまで購入した累計になります。つまり、②はライフタイムバリュー=LTVということになります。自社の商品やサービスに対して、いくらお金をかけていただけるか、それを観点にしながらお客様を絞っていきたいのです。

ただ、ここに実は大きな躓きポイントがありまして、会員になった時点または最初に購入した時点はお客様それぞれ異なります。

例えば、今年の7月会員になってこれまで10,000円購入していたAさんと、5年前の7月に会員になって10,000円購入していたBさんは、まったく異なるタイプのお客様である可能性があり、AさんとBさんを一括りにしてしまうとミスリードになってしまいます。

よって、精緻にやろうとすると、その該当期間を例えば「会員になってから1年」など、同じ期間に揃える必要があります。

面倒ですよね。ショートカットしましょう。2つの方法があります。

【ショートカット方法】
まずは、2020年8月~2021年7月のようにまるっと1年間で区切ってデータを取得する方法です。この場合、1年経過していないお客様が存在することになりますが、常に一定量の新規のお客様が入ってきて、一定量のお客様が休眠(買わなくなる)するが、それ以外のお客様が多数存在する、ということを前提に一番最後のお客様をあぶり出すことができます。ただし、新規を数多く獲得しているスタートアップの場合には適していません。

次に2021年7月と単月で区切ってデータを取得する方法です。この場合、LTVでもなんでもなく単月の購入金額になってしまいますが、あくまで目的はターゲットを絞ることなので、日用品など頻度多く購入されるサービスの場合は、そのシーンを切り取ることができるので問題ありません。データ量が多い場合はこちらの方法がお勧めです。

さて、購入回数も同様の定義で抽出しましょう。以下の図のようなデータが用意できたでしょうか?

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つぎにちょっとした加工です。購入金額を1,000円や10,000円単位で区切りましょうエクセルであればround関数を使うと楽です。今回は10,000円で区切ってみます。次の表のようになりました。

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さて、あとは任意項目の追加です。取得可能かつお客様のターゲット像をあぶり出せそうな項目を追加しましょう。

今回は1回あたりに商品を平均何点購入しているか、性別、年代、居住の都道府県を追加しました。なお、性別、年代はお客様の任意入力項目の場合が多いので、不明もありとしています。

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データ分析編

さて、いよいよ分析編です。先ほど丸めた「購入金額帯」をキーに分析していきます。「~円代」のようにしておくと後でわかりやすくなります。

まずはグラフにしましょう。例えば以下のようなグラフになるはずです。

グラフA)

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上記のように裾野がある山がどこかに出るようにしてください。

もし下記のグラフBのように片方に山ができてしまった場合は、その山をさらに区切ってグラフを作ってください。
(グラフBの場合は~10,000円の人たちを1,000円単位で区切る)

グラフB)

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グラフAを元に説明を続けます。これを見ると、60,000円代、100,000円代のところに壁がありそうです。思い切って、60,000円代~100,000円代の人のみに焦点を当てていきます。

次に先ほど用意した購入回数以降の項目の出番です。60,000円代~100,000円代の人が購入回数は何回が多いのか、年齢は何十代が多いのか、というようにボリュームが大きいところを区切っていきましょう。

人数でも割合でもかまいませんので、同様にグラフにしていきましょう。ここでは割合でみていきます。

なお、年齢や性別の不明は、どの年代も同様に一定の不明層がいると考え、除外して集計しましょう。以下がサンプルです。

画像6を拡大表示
画像7を拡大表示


そうすると、

1年で平均して4回、1回あたり3点購入、トータルで90,000円購入した30代の女性。

というようにターゲットが浮かび上がってきます。

【補足】
①都道府県の扱い
そのまま扱ってしまうと、東京都の人口が多いので、東京在住の方がターゲットになってしまいます。それはそれでメインターゲットなのでかまわないのですが、もし、どこか人口の割に突出して購入している都道府県がないか探る場合は、「統計局」のデータを基に都道府県ごとの人口比率を割り出し、その比率より高いか、を観点に見ていきましょう。

②切り捨ててしまった部分の扱い
今後サブターゲットとなる得るので、余力があれば分析しましょう。また、メインとそれ以外のターゲット比較することで、逆にメインターゲット像が浮かびあがってくるはずです。

そして、前回行った定性的なターゲット像を重ねましょう。
(若干、ずれている可能性はありますが、あまり気にせず、文脈としては同じだろうと、考えてみてください)

この方はなぜ4回も買い物しているのか、季節要因か、商品が消耗したからか。この方はなぜ1回あたり3点も購入しているのか、割引サービスがあるからか、家族分も購入しているからか。

などなど。数字が生きている人間像として描かれてくることでしょう。ローデータを元に実際に購入された商品を見てみても面白いでしょう。

さて、ターゲットが絞り切れましたか?
以下は例です。

ターゲット例)
1年で平均して4回、1回あたり3点購入、トータルで90,000円購入。東京都に在住の30代の女性。結婚していて子どもは未就学時が1人。育児に追われていて買い物はもっぱらネットで。時間があるときにまとめて買うようにしている。出産してからなるべく安心安全な自然由来のものにこだわるようになった。ツイッターやブログで情報収集をしている。時間があまりないので、価格をじっくり見るというよりは口コミを斜め読みして参照している。趣味は子どもが寝てから録画したテレビを見ること。音楽番組やグルメ番組が好きだたが、最近はやっぱり育児系の番組をよく見る。そこで知った、このサービスを利用しはじめた。スマホのアプリが使いやすいし品揃えが多いので気にいっている。素材にこだわっているのも安心。ただ値段はあまり安くないので、今後も利用するが、子どもが大きくなったらわからない。子育ては大変だけど、楽しい。ただ、たまに自分の時間がほしいし、自分の趣味にお金をかけたくなる。


あなたが扱う商品・サービスの世界の中に住むターゲットです。

どんな人物像かはもちろんですが、なぜ、その世界に来てくれて住んでくれたか、またその世界を出そうかどうか、イメージできましたか?

さて、同じターゲットが数多く住んでいれば、売上がたくさんあるということです。次回からはそんなターゲットを外の世界で捕まえにいきましょう。

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