仕事は7割でいい

ビジネス

 時代が移り変わるスピードが早くなり、仕事の進め方も変化してきました。計画に時間をかけるよりも、まずは実行して改善することが推奨されています。

「7割でいい」という意味

 その際、よく「7割でいい」という言葉を見受けます。これは、7割の準備でいい、7割の成功確率でいい、ということを示した言葉です。
「絶対に成功させるんだ」
「絶対にリスクを0にするんだ」
「予算やスケジュールをぴたりと合うように作成するんだ」
などと、やっている時間があったら、さっさとやってしまいなさいということです。アジャイルやトライ&エラーという言葉も一般的になりました。

「7割」という到達点の目安

 ところで7割ってどの程度のことでしょうか? ここまでやれば7割という正解がないので、目的に応じた人それぞれの感覚によると思います。

 例えば売上達成が目的であれば、そもそも確率でいえば成功か失敗かは五分五分になります。つまり、あと2割成功確率を上げればいいのです。あとは何が成功確率をあげるかです。あれもこれもと「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」とやみくもに行うのは非効率です。「市場・自社・顧客」を分析して、CSF(Critical Success Factor)を見つけて、そこに注力するのが理想です。ただし、その分析やCSF探しに膨大な時間をかけるのは本末転倒。時代が変わってしまいます。例えば社内の知見がある人を何人かつかまえて話を聞くことで勘所を身に着けてから、データを見に行きましょう。

 そして、2割ほど成功の芽が見つかった段階で、企画書の作成に移りましょう。作成している段階で、足りない要素が見つかりますし、人に指摘されて気が付くこともあるからです。

企画書の作成も7割でいい

 さて、企画書の作成の段階でも7割を目指しましょう。そもそもその行為自体は一円も売上にならないものです。できればそこに労力をかけたくないですが、例えば企業や社内にプレゼンする際、必要になってきます。その場合も目的は、合意形成を得ることです。きれいな書類を作ることではありません。あれもこれもと情報を入れ込み大量のページ数の資料を作ることでもありません。正しい情報を整理して伝えることが目的です。

 余談ですが、ひと昔前はパワーポイントを使って例えば様々なアニメーション機能で流行っていました。確かに見栄えはいいのですが、労力がかなりかかります。そのため、有名な例ですが、Amazonではパワーポイントの使用を禁止しています。それに倣って日本でも使用を禁止し始めた企業があります。トヨタはそれ以前から企画書はA4かA3一枚に収めるようにしているそうです。最近だと、canvaという便利なツールもあります。予め綺麗なデザインテンプレートやプロットが用意されていて、そこにオリジナルの文章を記載するだけで、あっという間に作成することができます。

立ちはだかる社内稟議の壁

 こうして7割は成功しそうな企画ができたとします。ただ、日本の場合、基本的には権限規定に沿って、階段方式で上へ上へと申請していくことになります。途中で指摘が入ったら振り出しが戻ることになります。日本では残念ながら課長、部長といえどもあまり裁量を持っていません。そもそもその役職の数も多すぎて、意思決定に時間がかかるのです。途中の方々も上に指摘されるのを恐れるあまり、完璧を求めようとしてしまいます。それが下に降りてきて、最初から10割の完成を目指さざるを得ない状況に……。

 世界では権限移譲を促進していて、意思決定のスピードを速くするように組織を改善している企業も多いですが、日本はまだまだ。全力で企画を作成し、裁可が降りたときには、燃え尽きてしまう。そうならないように、仕事の本質だけは意識しておきたいところです。

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