子どもを持つ親の間で、
「あいつだけには近寄らない方いい」
という悪魔のような存在がある。
チョコレートの甘いお菓子でもない。
Nintendo Switchでもない。
それはUFOキャッチャーだ。
またの名をクレーンゲームともいう。
主にゲームセンターや
ショッピングセンターに生息している。
遊び方は簡単。
100円入れてクレーンを操作するだけ。
目当ての物に標準を合わせ、
スイッチを押す。
クレーンに付いているアームが
目当ての物を掴む。
しかし、その喜びは束の間、
ポケットに行くまでに
無情にも落ちてしまう。
がっかりする子どもの表情。
それを見てしまうと、
親は財布を開き
また100円を投じてしまうのだ。
わずか30秒程度の娯楽。
あっという間に財布の中の
100円がなくなっていき、
両替機に足を運ぶのだ。
こいつのたちが悪いところが、
たまに取れてしまうことだ。
(大抵は目当ての物ではないが)
まったく取れないのであれば、
二度とやるまいとなるのだが、
たまに取れてしまうので、
子どもにせがまれると
またやってしまう。
私は賭け事は一切やらないのだが、
その魔力がわかる気がする。
とはいえ散財には違いないので、
なるべく近づかないようにしている。
だが、子どもとお買い物で
ショッピングセンターに行くと、
あいつは遠くの方からその存在感を
放っているのだ。
そして今日も100円が飛んでいく。
また、いつものように、
お金が飛んでいくだけだ。
そう思っていると、
4歳の次男の方が
ぬいぐるみを取ってしまった。
7歳の長男は全く取れていないのに。
帰りの電車では、
次男は初めての成果に喜ぶ一方、
長男は終始不機嫌だ。
何を言っても無言のままでたちが悪い。
やれやれ。子どもにねだられても
我慢してもらうことを覚えてもらわないと。
そんなことを思って翌朝、
子どもが寝る寝室に向かう。
次男がまだ起きてこないからだ。
次男は案の定、すやすや眠っていたが、
横に小さな枕があって、
昨日UFOキャッチャーで取った
ぬいぐるみが丁寧に寝かされていた。
恐らく次男のしわざだ。
ぬいぐるみと一緒に寝たかったのだろう。
あれだけ片付けが苦手なのに、
物を大事にすることを
ちょっとは覚えたのかもしれない。
そうだとしたら
UFOキャッチーをやったかいも
あったのかもしれない。
まあ、でも、次は1年後くらいに
出会いたいところ。
子どもと街中を歩くときは、
UFOキャッチャーという悪魔の視線に
気を付けなければいけない。
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